睡眠の薬は睡眠の症状に、でも睡眠改善は様々な改善につながりますよね?でも…というお話し

2月22日放送の生活情報番組「ガッテン!」でNHKが謝罪。睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができるの?と受け取りかねない配慮の足りなかった放送内容で誤解や混乱を招いたことについて番組HPに謝罪文が掲載されていました。

「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」をご覧になった皆様へ|ガッテン!

睡眠は健康の源。人の三代欲のひとつでもあり、睡眠が充実していなければ身体のどこかに不調をきたすのは自然な流れとも言えそう。

つまり、普段睡眠が不十分で体調不良を感じている方が、しっかりと睡眠をとれるようになるだけで、何かしらの改善を体感する可能性は少なくない…と言えるのではないか。

ガッテン!番組HPに掲載された謝罪文によると…

「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」などの行き過ぎた表現や短絡的な表記があったり、あたかも睡眠薬を糖尿病の治療や予防に、直接使えるかのようなごかいをあたえてしまいました。
あくまでも睡眠障害と診断された方に対して、医師が睡眠薬の処方が必要であると判断した時にしか行えないことを、もっと明確に述べるべきでした。
「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」をご覧になった皆様へ|ガッテン!より

ということですので、本当のところは睡眠が不十分で糖尿病を患っておられる方に対して睡眠薬を処方して、しっかり睡眠をとることで睡眠の効能として血糖値が安定するなどの効果が期待できるんですよ!ってところを、ちょっと端折ってしまったことで、さも睡眠薬が直接糖尿病の症状に対して効果が期待できるように受け取られかねない…という表現になってしまった事への謝罪…ということの様子。

わたくし残念ながら番組を見そびれておりますので、今回の内容に対してはサイト上の謝罪文からしか読み取れないのですが、つまりは睡眠が主役になるはずだったのに、表現の配慮不足から睡眠薬にスポットライトが当たってしまったのでしょう。

「糖尿病を発症されておられる方の多くの方が睡眠不足である」…という統計があるのか?までは定かではありませんが、睡眠の障害を自覚されておられる方には、糖尿病治療と並行して睡眠の質向上も対処する事で効果的な成果を期待できるのかもしれません。

そんな期待を紹介するためにGABA受容体作動薬やメラトニン受動態作動薬などなど、いくつかの睡眠に関する薬剤について説明されるはずが、さも、これらの薬剤を糖尿病への治療に使ってみたくなるように見えてしまったのか。

謝罪文が掲載されるにあたって、多くのお問い合わせがあったようですので、作り手の感覚と受け取りての感覚にズレが生じてしまったのでしょう。

睡眠薬ってのは、お医者様でも扱いに苦慮するほど適正判断の難しいお薬。ましてや睡眠障害の為に処方されるお薬ですから、その目的をズラして処方することはできない。

睡眠薬はあくまでも睡眠の改善に対してのみ。

睡眠改善の延長線上に、様々な体調の改善が期待されるその効能のひとつに血糖値の安定が含まれるというだけで、また、必ずしも全ての方に「睡眠改善=血糖値の安定」という公式がもたらされるとは限らないことでしょう。

現に、日本神経精神薬理学会や日本睡眠学会は、連携して睡眠と血糖値の関連について、現状の見解を発表されています。
平成 29 年 2 月 22 日(水)に放映された NHK 番組「ガッテン!」の内容に関す る一般社団法人日本神経精神薬理学会としての見解
平成 29 年 2 月 22 日(水)に放映された NHK 番組「ガッテン!」の内容に関す る一般社団法人日本睡眠学会としての見解

となると、糖尿病の治療は糖尿病の治療。睡眠障害の治療は睡眠障害の治療と線引きが必要になる。

でも、わtくし、この線引き、大嫌い。

病院の運営が科目でキッチリ分けて受付・治療されていることから、致し方ない線引きであることは渋々理解はできるんですよ。

しかし、今回のように睡眠障害を自覚されている糖尿病患者に対しては、糖尿病の治療と並行して睡眠障害の治療も同じ診察で診てもらえるようにはならんものでしょうか。
あ、まぁ、睡眠改善が血糖値の安定に繋がることが健康保険で受け入れられていれば…てことでしょうが。

国民健康保険のおかげで、日本に籍を持つ国民は安心して病院に行くことができる素晴らしい仕組みだと思います。

ただ、日進月歩の医学の仕組みが健康保険に反映されるのに、ジレンマを感じてしまうことがあることも事実。

そりゃ、まぁ、いい加減な検証で反映されても困るわけですから、この点について外野がとやかく言ってはならんのでしょう。

今回のガッテン!のように、まだまだ対象の分母が限られている段階での紹介が、わたくしが感じるジレンマを導いているのかもしれません。しかし、この分母がもっともっと早く増やせて、本当に睡眠薬を使った睡眠改善が血糖値の改善にも繋がっている因果関係を認めることができたのなら、糖尿病の治療の範囲で睡眠改善の治療も受けられるようになる。のよね?

睡眠障害って、まだまだ確認されていない他の病気との関連がもっともっとあるんだと思います。

ついつい後回しにされがちな睡眠不足や睡眠障害。

睡眠に不満を持って病院に行く人も少ないですし、そもそも近くに睡眠の相談のできる病院が少なかったりします。

これが他の我慢できない病気や痛みから、睡眠の改善も面倒をみてもらうことができるようになれば、放置されて表面化していない睡眠障害を早目に対処できるようになり、何時ぞやお話しいたしました睡眠障害不足による経済的な損失も改善に繋がっていくのではないでしょうか。

プライマリケア・総合診療という言葉を知っていたとしても、いきなり総合診療科へと直接診てもらいに行くことはまだまだ出来ません。行った病院にたまたま総合診療科があったならば、スムーズにそちらを勧めていただけるケースもあるのでしょうが、そういった病院とお付き合いのない診療所へ、たまたま行ってしまったがために自己判断で様々な病院を迷い歩く…なんて事になっている方も少なくないかと思います。

今、患っている痛みや病の直接的な原因が睡眠障害ではない…としても、間接的に影響を及ぼしている場合や、症状を一回りひどくしている場合もあるかもしれない。そんな関連をお医者様がしっかり認識されている場合とそうでない場合、その後の治療は岐路に立たされる。

医療という現場において、専門的な知識が重要であることは明らかな事実。

しかしながら、専門分野をキッカリ線引きして分けてしまうのではなく、その境界線をまたぐことのできる連携も、これからは大事になってくるんじゃないでしょうか。
もちろん、それが簡単な事ではない…ということも解らなくはないわけで、なかなか難しいところなんでしょうね。

今回、日本神経精神薬理学会と日本睡眠学会が連携してNHKにたいして「ちょっと待った!」と声を上げられたことは、医学全体で見渡してみると小さな一歩なのかもしれませんが、これからも、もっともっと、様々な分野の連携を期待したいところです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする