調査報告「不眠に関する意識と実態調査」に見る日本人の睡眠

西田敏行さんが出演されている肺炎予防のCMでお馴染みの製薬会社MSD社による「不眠に関する意識と実態調査」がいくつかのサイトで取り上げられていましたので、こちらでもチェクックしてみようと思います。

見出し一覧

不眠に関する意識と実態調査結果
国際基準で見る、日本人の不眠の実態
睡眠時間と仮眠時間
不眠の治療実態と不眠の影響
就寝時の感覚と、現在の悩みやストレス
就寝前の行動
不眠症治療薬に対する意識
久留米大学医学部 神経精神医学講座教授 内村直尚先生のコメント
ご参考〜アテネ不眠尺度
まとめ

不眠に関する意識と実態調査結果

医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品を手掛けるMSD社による調査結果報告のソースは↓こちら

20代〜70代の男女7,827名に聞く「不眠に関する意識と実態調査」調査結果概要
PDFファイルになっております

・調査実施機関は2014年8月12日(火)〜8月19日(火)
・対象地域は日本全国
・調査手法はインターネット調査(楽天リサーチ)
・人口構成比に基づいた20代〜70代男女7,827名が回答

製薬会社MSDによる実態調査報告はPDFファイルによる公開であり、取り上げられているいくつかのサイトさんでは、引用こそされているものの、ソースへのリンクがあまりされておらず、確認するのに手間取ってしまいました。

以下、公開されているPDF内の見出しごとにお話を進めさせていただきたいと思います。

国際基準で見る、日本人の不眠の実態

 ・約4割に「不眠症の疑いがあり」、約2割が「不眠症の疑いが少しある」

国際基準である「アテネ不眠尺度」という不眠症判定法を用いて調査された今回の結果から、約4割・38.1%が不眠症の疑いありとなったらしい。驚くことに、ここへ「不眠症の疑いが少しあり(18.4%」まで加えると調査対象者の半数を超えてしまう事。

今回の調査対象者の中で、不眠症の疑いのない割合は38.9%と半分以下。

ざっくり6割の方が睡眠に対して不眠症の心配をしなくてはいけないのです。

この数字、あなたはどう受け取りますか?

睡眠時間と仮眠時間

 睡眠時間は平日6.3時間、休日7.0時間と世界的にも短め
 ・・逆に仮眠時間は推奨時間の30分以内よりも長く、不眠症状が強まるほど長い

日本人の睡眠時間が短いことは、テレビなどのメディアでも時々取り上げられたりしていましたので、ざっくり「そうなんだろうなぁ…」という気はしていましたが、今回の調査でハッキリしていしまいました。

平日の睡眠時間は平均6.3時間、休日で7.0時間なのだそう。

一体、平均時間を下げておられる方は、どんな毎日を送っておられるのか…
病気になりますよ、マジで…

一方、仮眠時間についても調べられており、こちらも悪い影響を及ぼす方へ傾いてしまいました。

厚生労働省が推奨する仮眠時間では、30分以内の昼寝となっています。しかし、実際には不眠症状のある方達は平均して30分以上の仮眠をとっているのが実情という。

夜、眠れなくて耐えられず日中に仮眠を摂ってしまう。しかし、ついつい30分以上眠ってしまう。30分以上、仮眠を摂ってしまったことで、夜、就寝時、眠気がなかなかやってこない…という悪循環にハマってしまっているのでしょう。

そんな悪循環に加えて、就寝前の習慣が更に眠気を遠ざける事に…

不眠の治療実態と不眠の影響

 ・不眠症の疑いあり層は、「日中のパフォーマンスが3割以上ダウン」
 ・不眠症の疑いあり層の約6割は、「不眠症の自覚なし」
  不眠症の自覚あっても約7割が「受信せず」

アテネ不眠尺度判定で不眠症の疑いが強くなるほど、日中のパフォーマンスが3割以上ダウンしていると自覚されている。
しかし、その6割が不眠症の自覚を持っておらず、不眠症の自覚を持っている方の場合でも、その7割が専門医を受診されていないのだそうだ。

日中のパフォーマンスが落ちている現実を睡眠不足と結びつけているのか、いないのか、そこまでは判りませんが、自分が不眠症なんじゃないか?と感じていながらも、7割もの方達は医師に相談すらされていない。

いや、マジで、癌になりますヨ…

就寝時の感覚と、現在の悩みやストレス

 ・不眠症の疑いあり層は、脳の覚醒を促す「就寝前に不安感、緊張感がある人の割合が、不眠症の疑いなし層の約4倍にのぼる

睡眠の質を低下させている原因を聞いた時、不眠症の重症度がたかいほど、該当する項目が多い傾向が見られたらしい。

睡眠の質の低下を起こしている原因であてはまる感覚として挙げられた項目は以下のとおりです。
・ストレスがある
・不規則な生活をしている
・悩みがある
・多忙である
・継続的に治療を受けている疾患(不眠症以外)がある
・飲酒しすぎることがある
・交代勤務制の仕事に就いている
・あてはまるものはない

また、就寝時に感じる感覚として挙げられた項目がこちら
・疲労感
・不安感
・憂うつな気持ち
・いらいらした感覚
・気持ちが高ぶった感覚
・緊張感

最後に現在の悩みやストレスとして挙げられていたのがこちら
・将来のことに関する悩み
・対人関係のストレス
・経済的なストレス
・仕事に関するストレス
・家族のこと(子育て、親の介護など)に関するストレス
・健康に関する悩み
・家事に関するストレス
・趣味に関する悩み
・恋愛に関する悩み

これら挙げられた項目が就寝時に感じられたならば、確かに寝付くまでに時間がかかりそうなのは納得。

自分に合った、うまく気分を変えられる方法や、寝つきやすい環境を見つけられれば、きっと楽になれるのでしょうが、そう簡単ではないからこれだけ多くの割合で不眠症状を持つ方がいらっしゃるんでしょう。

もっと睡眠について、情報を簡単に得られるようにならんといかんのでしょう。

就寝前の行動

 ・不眠症疑いあり層の約9割は、就寝直前に「テレビ、スマホ操作、寝酒」などをする
 ・疑いなし層と比べて、睡眠の質を下げる”脳の覚醒を引き起こす行動”をとりがち

不眠治療層以外の3層(不眠症の疑いあり、不眠症の疑い少しあり、疑いなし)を対象に集計された眠る前の行動を見ますと、恐ろしい結果が見え隠れします。

脳の覚醒を引き起こすとされる就寝前の行動として挙げられたのが
・テレビを見る
・PC・タブレット・スマホを操作する(ゲームは除く)
・飲酒
・考えごとをする
・ゲームをする
・喫煙
・カフェイン摂取(コーヒー、紅茶など)

これらの項目の中で、考えごとをする…というのは避けようがないだろう…とは思いますが、テレビ、PC、タブレット、スマホ、ゲームについてはブルーライトによる視交叉上核への刺激と、思考回路への刺激を考えれば、就寝前にやっちゃいけない行動の代表上位に挙げられるものばかり。

飲酒も、本人は眠りにつけている気がしているが、実際のところ、睡眠の質は低いことが知られています。カフェインについては言わずもがな。

これらの行動を、不眠症の疑いがない方達も行っておられるのですから、現在は疑いはない…という結果が出たとしても、予備軍かもしれない…という意識は持たれておいたほうがいいのえはないでしょうか。

ほんと、ちょっとしたキッカケで、全然眠れなくなっちゃいますよ…

不眠症治療薬に対する意識

 ・不眠症治療薬を飲んでいる人の約7割が、不眠症治療薬に「不満」
 ・不眠症治療層以外は、不眠治療薬に対して「怖い」「治らない」とネガティブなイメージ

今回の調査の中で現在不眠症の治療で通院中の186名の中でおよそ7割(71.0%)の方が、現在飲んでいる薬に対して不満ありと答えられたそうです。
薬をやめたいがやめられない…夜中や朝方に目が覚める…ぐっすり寝た気がしない…などいくつかの意見が浮き彫りになっています。
こうした現実を知ってか知らいでか、今回の調査対象者全体の6割は「不眠治療薬を飲むのは怖い」5割が「不眠症は不眠症治療薬では治らない」と考えているのだとか。

睡眠に対する評価というのは、外傷のように目に見えて確認のできる改善がないため、実際には効果が現れているにもかかわらず、本人にしてみれば全快しているわけではないので満足に至らない、という事も考えられます。
また、「先週はよく寝られていたのに、今週は…」といった右肩上がり一方という安定した改善を得られないことも、ネガティブなイメージをもたらすのかもしれません。

睡眠のメカニズムについては、まだ完全に解明されたわけではありませんので、ぶっちゃけた話をするならば、こうした治療は試行錯誤の連続なのかもしれません。
また、不眠の原因も千差万別、個人個人でそれぞれ対処法、投薬の選別は違うことでしょうから、自分にあった治療法・治療薬に出会えるまでは満足出来ないことでしょう。

そもそも現代社会の構造が、人の暮らしを狂わせてしまったかもしれないという考え方をしますと、生活そのものを原始的なもの(日の出、日の入りに沿った生活)にするなどの根本的な改善が必要なのかもしれません。

もっとも、そういった生活を送るために仕事を変えなければならないなど現実的ではない部分もありますが…

久留米大学医学部 神経精神医学講座教授 内村直尚先生のコメント

 ・”脳の覚醒”を防ぐことが、快眠へのカギ。
 ・不眠が慢性化する前に、専門医に早めに相談を。

1981(昭和56)年より、日本初の睡眠障害専門外来を牽引してきた内村先生のコメントが掲載されています。

諸外国では不眠症有病率は6〜10%程度とされるなか、今回の調査によって3人に1人にあたる38%という数字が取り上げられています。
就寝前のテレビ、飲酒、パソコン・タブレット・スマホの操作など、脳が覚醒してしまうような行動をとってしまうライフ誌タイルの定着が日本人の不眠症拡大に大きく関わっていると話されています。
床について、考えごとを紛らわすためにテレビやスマホに手が伸びてしまうというのは悪循環の極み。

時代も平成に入り、テレビやパソコンが部屋にあることが当然のように育ってきた世代が、就寝直前までそれらを使用することは当然の毎日でしょう。
しかし、これらが本来就寝に向けて準備を始める脳にとって、悪影響を及ぼしているなどと、誰もが指摘されるまでピンと来ないはず。もしかしたら、指摘されても尚、納得出来ない方も少なからずいらっしゃるかも。

しかし、人の身体は太陽の光を目で確かめて、体内時計を調整しているという仕組みは確認されています。光の中でも波長の強いとされるブルーライトが放出されているテレビや、パソコン、タブレット端末やスマートフォンがこの仕組に影響しないわけがないのです。意識的にはピンと来ないかもしれませんが。

薬に対する不信感、不満を抱かれるのは致し方ない部分もあるかもしれませんが、そういった薬を服用されてながらも、こうした脳を覚醒してしまう行動をとっているのだとしたら、そりゃ、薬も効きませんよwということになるかもしれません。

もっとも、今回の調査ではじめて自分が不眠症の疑いがある、と知らされて驚かれている方がたくさんいらっしゃるわけですから、そもそも睡眠の障害というのは、認識しにくいものなのかもしれません。昭和の時代には「気合で乗り切れ!」的な対処もされてきたことでしょうし(笑)

しかし、睡眠の質が悪化することで数々の弊害が起こることが段々と判ってきていることですから、そろそろ多くの方がもっと睡眠に対して興味を持ってくださることを願ってやみません。

ご参考 – アテネ不眠尺度

世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法に基づいた不眠症診断のこと。

世界共通で8つの質問に対する回答を数値化することで、客観的に不眠度を測定できる。

質問の内容や採点方法は、PDFファイルの中で紹介されています。
20代~70代の男女7,827名に聞く「不眠に関する意識と実態調査」調査結果概要

まとめ

今回取り上げさせていただきました実態調査の実施時期は、この投稿時(2015年1月10日)からしますと、半年ほど前の実施になるのですが、睡眠に関わる実態調査といった資料としては、最新の情報にあたると思われます。
そうした情報をこうして見てみますと、ますます日本人は睡眠に対して軽く考えすぎなのでは?と疑わざるを得ません。

睡眠というのは、確かに摂らなくてすぬなら摂らずに済ませたい…、睡眠は時間の無駄だ…という考えも解らなくはありません。

しかし、現実問題として、人の身体の構造はそう出来ているのですから、従わざるを得ないのではないでしょうか。

睡眠を促すとされるメラトニンというホルモンは、ただ睡眠を促すだけではなく、強い抗酸化作用を持ち、体中のメンテナンスもしていると考えられています。それもほんの数十年前まではその存在すら確認できなかったほどの微量で。
これが事実なのだとしたら、不規則な睡眠・浅い睡眠によってメラトニンが生成されない生活で、健康な身体を維持することは難しいに決まっています。

まずは自分の睡眠が、しっかりと確保できているのか?その睡眠は充分な質を維持できているのか?そういった事に興味を持ち、充実した毎日を送るために必要な休息を確保していただきたいと思います。


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