思考の整理学

思考の整理学

外山滋比古(とやましげひこ)著

東大生・京大生によく読まれているらしいということで話題の本「思考の整理学」が面陳されていた。なんと2014年2月25日付で97刷目の発行となっていたのだ。以前に読んだことがあって、この本は「また読み返さなきゃ…」と思っていたのでレジへと向かった。
ざっくり言ってしまえばこの本は思考をテーマにしたエッセイといったところか。ちょっと乱暴な分類かも知れないが。

では、なぜこの思考をテーマにしたエッセイがここ「睡眠」をテーマにしたサイトに登場するのか。
じっくりと紐解いていきたいと思う。

「思考の整理学」とは

「思考の整理学」の帯によると、2008~2012の文庫本ランキング(東大・京大生協調べ)において販売冊数が第1位なのだという。当サイト管理人であるわたくしは東大・京大とは何の縁もないので、実際、キャンパス内においてこの本がどれほど学生間の話題となって出てくるのかについてはさっぱりわかりませんが、少なくともある程度の人数がこの本を読んでいるだろう、ということにするのは間違った判断ではないと思う。一体、この本の何が東大生・京大生に共感をもたらしているのだろう。否、ここは睡眠を扱ったサイトであるわけで、この本のメインテーマである「思考の整理」について掘り下げるには場違いというもの。今回はこの件(東大生・京大生にもたらす共感)についてはちょっとこっちに置いておくことにする。ただ、要約しておくとこの本の冒頭と終盤に登場する「学校教育から作り出されるグライダーは飛行機になることは難しいし、グライダーのままではやがて飛行機(コンピュータや機械など)に居場所を奪われてしまうよ。だからのこの本に書かれていることをじっくり考えてね…」ということになる。

「思考の整理学」を読んで、まず驚くのが30年以上前に書かれた本だというのに全く古臭さを感じさせないこと。扱っているテーマが普遍的…ということなのかもしれないが、流行り廃りの振り幅からかけ離れた時代に流されない文章の見本(基本)という点も見落とすことができない。学のないわたくしにも非常に読みやすいものだ、ということ。

そんな本がどうして「睡眠」を扱ったサイトで取り上げられるのか?
いよいよその点に触れていきたいと思う。

「思考の整理学」にまつわる睡眠の話

外山滋比古氏は、この本の第1章「朝飯前」の中で朝飯前という言葉の再定義をされている。氏の手元にある辞書(新明解国語辞典)の中では、「朝飯前」=「朝の食事をする前。『そんなことは朝飯前だ』〔=朝食前にも出来るほど、簡単だ〕とあるらしい。しかし本当は違うのでは?と疑われているのだ。とりかかる用事が簡単だから朝飯前にも出来てしまうのではなく、朝飯前だから効率よく難題も解決できてしまったのではないかと。ただ、その場面を見た第三者には「あの難題を朝飯前に仕上げてしまうほどのスキルの持ち主なのか!」と驚いてしまっただけと。

いくつかの例を引き合いに出しながら、氏が朝型人間になったことが語られているが、この事こそレム睡眠のチカラを活用した事例なのだ。

レム睡眠というのは、睡眠の質のことで、大きく2つに分けられる睡眠のうち、一見眠っているように見えるが実は脳は働いていて、起きている時とは違う活動をしている睡眠のことを指す。

第二章以降も、この睡眠をまたぐ思考について綴られているが、やはりレム睡眠の効果を活用されていると受け取ることが出来る。第二章一発目のタイトルは「寝かせる」だ(笑)。十九世紀のイギリス歴史小説家ウォルター・スコットという人の言葉「いや、くよくよすることはないさ。明日の朝、七時には解決しているよ」という言葉が残っているのだとか。英語には「一晩寝て考える(sleep over)」という言葉があるらしい。また、ガウスという大数学者のある発見を記した表紙には”一八三八年一月二十三日、朝七時、起床前に発見”と記されていたことなどが紹介されている。その他、様々な例を挙げながら、どうして「一晩寝て」からいい考えが浮かぶのかについて外山氏は「解らない」とされているが、これは謙虚さの現われというものだ。第5章「三上・三中」の中で、しっかりとレム睡眠・ノンレム睡眠について解説をされている。場当たり的にあれこれ話題を拡散させるのではなく、綴るべきテーマにそった内容を取捨選択された結果とご自身の専門分野を踏まえた上での話の流れ、ということなのだろう。(そもそも「思考の整理」が大テーマであって、睡眠を紐解く本ではないわけでもある)

まとめ

思考の整理学
1983年3月28日筑摩書房より「ちくまセミナーI」として刊行されたものに「あとがきにかえて」を加え、文庫本となる。

1986年4月24日 第1刷発行
2014年2月25日 第97刷発行

著者:外山滋比古
発行所:株式会社筑摩書房

目次
== I ==
グライダー
不幸な逆説
朝飯前

== II ==
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディビティ

== III ==
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート

== IV ==
整理
忘却のさまざま
時の試練
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ

== V ==
しゃべる
談笑の間
垣根を超えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界

== VI ==
第一次的現実
既知・未知
拡散と収歛
コンピューター

あとがき
文庫本のあとがきにかえて

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